皆さま、こんにちは!当ブログ管理人の悠爺です。
これまで「外資系で働くとどうなるか」というお題で2つ記事を書きました。
私は米国資本の外資系企業(日本子会社)1社に9年間勤めました。
今はそこから転職して現在は日本のスタートアップに勤めています。
そこでの経験のうち、おそらく多くの方が関心を持つであろう処遇(給与)、人事考課(評価・査定)については、上記の2つの記事にほぼ書き尽くしました。
外資系は処遇(給与)面では確かに魅力があります。
とりわけ昨今、コロナ後のインフレが先行した米国企業と比べると日本との賃金格差は拡大している上、円安がさらに格差を拡大しています。
しかしながら、私のように50代で転職するのは相当なリスクであることは間違いありません。
50代で転職を考えている方には何らかのっぴきならない事情がおありでしょう。
私のように職場消滅やリストラなど、今の会社で追い詰められている方もたくさんおられると思います。
そこで今回は総括として、実際に50代で転職し、JTC(ジャパニーズトラディショナルカンパニー、伝統的な日本企業)と外資系の両方に勤めた経験から外資系に向いている人の特徴について、思いつくところを書いてみます。
あくまで私一個人の経験だけに基づくものですが、50代になって外資系への転職を考えている方の参考になれば幸いです。
外資系に向いている人の特徴
特徴1:会社を自己成長のための手段と考える
私が最初に就職したメンバーシップ型雇用のJTCでは、今はもう変わってしまったかもしれませんが、人生の選択を会社にゆだねることで生涯安泰を得るという暗黙の図式がありました。
いわゆる終身雇用ですね。
ジョブ型雇用が主流の外資系では、その企業が日本に根付いた年数にもよりますが、基本そのような図式はありません。
外資系では(「ジョブ型雇用では」と読み替えてもよいです)、会社はそのジョブで成果を上げることを社員に期待し、社員はそのジョブで成果を出すことで給与だけでなく自己成長の機会を得る、という、JTCとは別の図式があるように感じます。
優秀な社員には成長に応じたジョブを与えるようにしないと、「これ以上の自己成長はこの職場では得られない」と社員自ら判断し、転職されてしまいます。
このため会社と社員の間にはJTCにはない独特の緊張感があります。
また外資系の場合、数年もたつと本国の社長や経営陣ががっさり入れ替わって、これまでと全く違う方針を出したりすることがよくあります。
そのようなタイミングでは、新しい経営陣に対し「ついていけない」「リストラされる」と察知して、他社に転職する人が急増します。
本国の経営陣が入れ替わる場合、本国のミドル層まで蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまうことがあります。
そうした離職の波が少し遅れて日本子会社にも伝わってきます。
本国の経営陣が変わっても日本での方針が不変で、加えて日本の経営陣は変わらないのであれば急な人の動きは出ませんが、何らかの予兆が見えてくると本国と似たようなことが起きます。
特に本国で転職したエグゼクティブが移った先の外資系企業で日本進出を考えているような場合、日本でも引き抜きが活発化します。
優秀な人ほど「このエグゼクティブについていった方が成長の機会が得られる」と判断した瞬間、転職してしまうのです。
こうした人の動きの激しさは、メンバーシップ型雇用のJTCにどっぷりつかっていると見えづらいかもしれません。
とにかく一度外資系に勤めると、転職に対するハードルが下がることもあって、転職を繰り返す人が多くなります。
その中でも特に優秀な人が転職する場合は、ほぼ間違いなく「引き抜き」によります。
上述のような会社の激震時において誰からも声が掛からない場合、その時点で転職は苦戦必至と覚悟した方がよいでしょう。
特に50代ではなおさらです。
もし、誰からも引き抜きのオファーがない場合は、しばらく転職は見送った方がよいでしょう。
新しい経営陣の下で生き延びる方法を模索しつつ、時機を見計らうことをおすすめします。
転職者が続出すると、JTC、外資系を問わず、職場の空気が動揺しますが、そこで焦って行動せず、冷静に状況を分析することが肝要です。
特徴2:スペシャリストとしての自信がある
メンバーシップ型雇用では人材育成の方針がゼネラリスト偏重で、スペシャリストが軽んじられる傾向があります。
この点については、下の記事にも書きましたので、興味がありましたら是非ご一読ください。
終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用では、出世の基準がどれだけ多くの人を仲間として束ねることができるか、同様に周りからもそのように思われるか、簡単に言えば評判が良いかどうかで決まる傾向が強いため、ゼネラリストとして生き残った人を上位職制に配置した方が組織運営が安定化します。
一方、ジョブ型雇用の外資系では、ゼネラリストとして育てられるのは次期経営層として選ばれた超エリートに限られます。
そうした人は選ばれる前に必ずスペシャリストとして輝かしい実績を出しており、経営陣から注目され、専用の育成プログラムに投入されることが多いです。
外資系でゼネラリストを目指すのは超ハードルが高い上、それ以前にスペシャリストとしての実績がないと見向きもされないので、普通の人が外資系で生き延びるにはとにかくスペシャリストに徹することです。
スペシャリストとしての自信はあるし、それを証明するだけの実績を出しているのにもかかわらずメンバーシップ型のJTCでは評価されていない、という方は50代でも外資系なら転職のチャンスはかなりあると思ってよいでしょう。
大リストラが行われているような激震時ではない、いわゆる平時では声が掛からない人であっても、スペシャリストとして履歴書にアピールできるなら転職を試す価値は十分あります。
特徴3:短期間で成果を出す瞬発力がある
50代で外資系に転職した場合、まず期待されるのは短期間で成果を出すことです。
肌感覚で言うと、猶予期間は概ね「半年以内」です。
50代で転職した場合、引き抜きであれ、応募であれ、社内にあなたを強く推薦した人がいるはずです。
通常は新しい職場の上司か、上司の上司です。
そうした人の期待に応えないと、その人の顔をつぶすことになりますし、上司からのプレッシャーも半端ではありません。
上司の上司が本国のエグゼクティブの場合はなおさらです。
短期間で成果を出すにはゼネラリストよりスペシャリストの方が有利なのは明白です。
自分の専門性を駆使して、これまでにない成果を作ってアピールすればよいからです。これがゼネラリストだと簡単ではありません。
とにかく最初の半年が大事で、ここで味方を作ってポジションを固めることが重要です。
特徴4:発信力がある
ジョブ型雇用の外資系では、コミュニケーションがレポートラインと直結している場合が多く、レポートラインによって定まるツリー内の人間どうしのコミュニケーションが密になる傾向があります。
まずはこのレポートラインを基軸にしたコミュニティに早く馴染み、認知してもらうことが重要になります。
ジョブ型雇用ではレポートラインがつながっていない部署間の連携は相対的に弱く、それが欠点でもあるのですが、まずはレポートライン内のコミュニティで十分に発信し、人間関係を良好にしておかないと社内の情報すら入って来なくなってしまいます。
このため転職後はとにかく発信に努めることが重要になります。
まずは何と言っても自己紹介です。
日本語と英語で30秒版、1分版、2分版くらいの文章を作って丸暗記しておき、場面に応じて使い分ける準備をしておくと重宝します。
特徴5:人脈がある
50代で転職した場合、転職先の会社から期待されるのは、その会社で起きている問題の解決と思ってよいです。
単なる人員不足だったら、すぐ仕事を覚えてくれる若い人を採用しますから。
50代に期待されるのは、その会社にはいなかった、あるいは不足していた経験豊かなスペシャリストとして、会社が抱えている未解決の問題を解決することです。
そして実際に入社してみると、その問題が想像以上に大きいことに気づかされるでしょう。
自分一人でどうにかなるレベルではない。
と思うケースが多いのではないでしょうか。
社内に担える人材がいないとなれば外から集めるしかありません。
そこでモノを言うのが「人脈」です。
前職の元部下や昔仕事をした仲間などに声を掛け集まってもらうか、それでも足りなければリクルート会社を使ってスカウトや募集を掛けます。
50代になるとゼロから体制を作る力も問われますので、日ごろから人脈のメンテには一定の時間は割いておくことをおすすめします。
特徴6:体力に自信がある
そしてこれが一番重要かもしれません。
外資系の場合避けられないのが本国との時差です。
特にコロナ禍になって以降、リモート会議のツールが発達して、外資系に限らずあらゆる企業で会議の頻度が上がっているでしょう。
外資系の場合、本国との時差の影響で、早朝や深夜にもポンポン開催通知のメールが入ってきますので、これにどこまで付き合うか自分なりに線引きをしておかないと体力が持ちません。
外資系に限らず、サラリーマンとして生き延びるのに最も重要なスキルは、正しい情報をいち早く入手して自分の仕事や判断に活かすことです。
このため一日24hr飛び交う情報にどれだけ付き合うか。
身も蓋もない話ですが、最後はかなりの部分で体力勝負になります。
かつての職場を思い出しても、外資系で生き延びている人は例外なく体力がある人でした。
「休暇は取るけれども、病気で休んだのを聞いたことがない」というイメージです。
体力に余裕がある人はメンタルも強いというのが私の印象です。
明らかにフィジカルとメンタルは連動していますね。
メンタルを直接鍛えるのは容易ではありませんが、体力増進に励めば結果としてメンタルを鍛えていることになります。
本国のエグゼクティブは日本に出張で滞在しているときも、ジョギングや水泳などに汗を流していることが多かった印象があります。
フィジカルとメンタルの連動を理解しているからでしょう。
それで私はどうだったのか
ということで、外資系に向いている人の特徴として、以下の6点を挙げました。
- 特徴1:会社を自己成長のための手段と考える
- 特徴2:スペシャリストとしての自信がある
- 特徴3:短期間で成果を出す瞬発力がある
- 特徴4:発信力がある
- 特徴5:人脈がある
- 特徴6:体力に自信がある
これらの特徴に対して、私自身どの程度当てはまるのか◎(3点)、○(2点)、△(1点)で自己評価してみると、
- 特徴1:◎
- 特徴2:○
- 特徴3:△
- 特徴4:○
- 特徴5:△
- 特徴6:△
といった感じです。
計10点、6で割って平均2点を切る水準なので、私自身はあまり外資系には向いていなかったように思います。
転職してすぐ辞めたいとは思いませんでしたが、JTCでのキャリアが長かったので最初の1,2年はギャップによるストレスを強く感じていました。
どちらかというとスペシャリスト的なポジションにいたので、出世とは無縁でしたが、そのうち成果をある程度認められるようになり、なんとか9年近くをクビにならずに過ごせた、というのが正直なところです。
私は外資系で50代の大半を過ごしました。
一般に人生で50代は子供の教育費用など経済的な負担が一番大きい時期です。
転職で収入を大きく下げてしまうと、家族への負担が大きくなってしまうので、やはり転職は慎重に考えるべきでしょう。
まとめ
今回は、「外資系で働くとどうなるか」の3回目として、外資系に向く人の特徴について書いてみました。
50代で外資系への転職を考えておられる方の参考になれば幸いです。
特にJTCからの転職を考えている方には、外資系は、JTCとは仕組みや重視される点がいろいろと異なるので事前によく調査されることをおすすめします。
あと、最後の方に書きましたが、外資系、日系を問わず、収入を大きく下げる転職は可能な限り避けるべきです。
そのためにも今の会社でスペシャリストとしての自分の価値を高める準備をしておくことをおすすめします。
一旦このテーマ:「外資系で働くとどうなるか」については今回で総括としたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。次回のブログでまたお会いいたしましょう!
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