外資系で働くとどうなるか(2)人間関係、人事、ストレス

キャリア・転職

皆さま、こんにちは!当ブログ管理人の悠爺です。

前回のブログでは、外資系に転職した私個人の経験をもとに、給与や雇用形態を中心にお話しました。

外資系で働くとどうなるか(1)給与・雇用形態
皆さま、こんにちは!当ブログ管理人の悠爺です。私は51歳のときはじめて転職しましたが、転職した会社はいわゆる外資系企業でした。もう少し正確に言うと、米国企業の日本子会社です。そこで9年間、すなわち50代の大半を費やしました。(現在はさらに別...

今回は人間関係、人事、ストレスといった側面について、私の過去の経験を思い出しながら語ってみようと思います。

前回同様、ここに記載する内容はあくまで私の限られた経験に基づく一つの例としてお読みください。

決して外資系をひとくくりにして一般化するものではありません。

組織・体制における特徴

外資系において組織・体制面でそれまで勤めた日系企業とは違うと思ったことがいくつかありました。

社員だけどレポートラインが社長に通じない?

日系企業であれば、誰しもその会社の社長の部下の部下の・・・部下といった感じで、レポートラインを手繰っていくと社長に行きつくのが普通だと思います。

ところが、外資系日本法人の場合、社員のレポートラインを手繰ってもその日本法人の社長に行かないことがよくあります。

これは、人事、経理、法務といった管理部門やITのようなインフラ部門においてよくみられます。

例えば、人事においては日本だけでなくAPAC全体を統括する人事責任者のような人がいて、日本法人の人事担当はその人の部下になっているので、レポートラインが日本法人の社長に向かっていないといった具合です。

そのような人は、日本法人の社員だけれども、正確には社長の部下ではないということになります。

その人の異動や査定については日本法人の社長の意見も参考にはするにしても、決定権は直接の上司にあります。

この点は、日系企業には見られない特徴の一つだと思います。

逆に言うと、日本法人の社長にとっては少々やりづらい組織であり、人事をめぐってグローバルに意見の対立が起きやすい土壌になっているとも言えます。

レポートラインも仕事仲間もグローバル

外資系の場合、本社がグローバル企業になっていることがほとんどだと思います。

その場合、日本法人の社長の直属の部下には日本法人の人以外に海外拠点の人も含まれていることが多いです。

そういう体制がカスケードされて下にもコピーされるので、自分が所属する階層での横の仲間、すなわち仕事上の同僚もグローバルに広がっていることがよくあります。

そうした海外拠点の人たちと普段から業務を分担、連携して進めないと仕事が成立しません。

私が日系企業にいた時、海外の人と仕事をするのは、海外案件やプロジェクトなど、限られた場面において発生しましたが、外資系では普段の仕事がそもそもグローバルという状況になります。

英語は当然として時間管理がもっと重要

自分の上司、部下、さらに業務推進上必須の仲間に海外の人が一人でもいれば、共通の言語は英語一択になります。

海外仲間とのミーティングは対面で頻繁に行うことは難しいので、大半がリモートとメールのやりとりになりますが、そこでも言語は英語になります。

メール一本で30分後にウェブ会議がセットされる、なんてことも頻発するので、通訳の手配などは到底不可能。すべて英語でマネージしなければなりません。

このため仕事上の資料の大半は英語で用意することになります。

ミーティングのメンバーが日本人だけの場合は、日本語で会話はしますが、資料は英語のものを作成し、使います。その会議にいつ海外の仲間が参加するかわからないからです。特にウェブ会議ではそのようなことがよく起きます。

以上から英語力が一定以上ないとやはり外資系では厳しいです。

もう一つ自己管理で重要なのが時差への対応です。

時差はどんなにテクノロジーが進んでも、克服することができません。

早朝や夜遅くにミーティングがセットされることも多いので、その上で健康管理、睡眠時間の確保が必要になります。

日系企業でも海外案件に対応されている方であれば、経験済みのことと思いますが、外資系では当たり前になってくるという感覚です。

処遇・査定における特徴

処遇や査定においても、純粋な日系企業と比べるとやはり異なる点がありました。

賞与(ボーナス)は当たり前ではない

前回の投稿で、外資系における「短期的なインセンティブ」は日本の賞与(ボーナス)に相当すると書きました。

それは確かなのですが、日本では賞与は出て当たり前と考えられているのに対し、外資系では(会社によるかもしれませんが)必ずしもそうではないのです。

私がいた外資系では、賞与は基本的にBOD(取締役会)でコミットした業績を達成ないし上回った場合にご褒美として基本給(年俸)に上積みされるもの、と定義されていたので、コミットに到達しなかった場合は大幅に減額され、ひどい場合にはゼロになります。

私は外資系に9年勤めましたが、賞与がゼロだった年が2年ありました。

日本で賞与がゼロというのは、その会社が不祥事を起こしたので、経営陣が記者会見で謝罪して賞与を全額返上するといった場面くらいでしか見聞きしたことがありません。

私が以前いた日系大企業でも、業績が赤字になっても賞与は出ていました。

このように外資系では賞与は非常に変動が大きいので、間違っても住宅ローン返済に賞与での返済は組み込めません。

降格は日常茶飯事

メンバーシップ型雇用の伝統的な日系企業では、処遇のベースラインに年功制が織り込まれているので、勤続年数に応じた昇格昇給が基本になっています。

日系企業の場合、降格の規定があっても、実際に執行されるのはよほどのことでしょう。滅多に起きないからこそ、起きた場合は懲罰的な意味合いが生じてしまいます。

一方、外資系ではジョブ型雇用が普通ですから、職務定義で要求されるパフォーマンスを出せなかったら、比較的簡単に降格されてしまいます。

職場で頻繁に起きるので、降格されても(本人がどう思っているかは別として)、周囲の人たちはさほど気にも留めません。明日は我が身と思って目の前の仕事に取り組むだけです。

また、家庭の事情などの理由で業務負荷を下げたい場合、本人が希望して降格するといったこともよくあります。

人の流動性は高い

外資系であっても、優秀な人にはずっと働いてほしいと考えるのは同じです。

離職率は外資系においても低く抑えたいと考えるので、長期的なインセンティブとしてRSUによる自社株支給など、さまざまな策を講じているわけです。

それでも、日系企業と比べるとやはり人の流動性(退職、中途採用)は高いというのが実感です。

辞めていく人を見ると、よりよい処遇を求めて転職する人と、降格が続いてその会社でのキャリアを断念するといった2つのパターンが見られます。

ただ、本国(本社)の方がもっと人の動きが激しいので、それと比べると外資系とはいえ、日本法人の方が比較的落ち着いて見えます。

また役職定年は、外資系の場合、差別的にとらえられる可能性があるため、採用しているところはほとんどないと思います。

一方、定年制は外資系でも取り入れているところはあります。

60歳以降も残る人はそもそも多くないため、再雇用といった受け皿的な仕組みを制度化していない外資系も多いです。

ストレス

人によると思いますが、以上述べたような外資系特有の組織や人事の仕組みがあり、それがストレスに感じる人は、そもそも外資系への転職は避けた方が無難かもしれません。

人間関係よるストレスはなくならない

50代で転職を考えている場合、そもそもの動機は何でしょうか?

今の職場の人間関係によるストレスに耐えられないというのも転職の動機としては十分あり得ると思いますが、外資系はドライだからストレスは少ないだろうと思われたとしたら、そんなことはない、と申し上げておきます。

人の集団である以上、どんな会社に勤めても人間関係によるストレスからは逃げることはできません。

前述のとおり、海外の仲間と共同して仕事を進めていくことが多いですが、言葉の壁以上に、日本人では想像できないような価値観を持っている人もいるので、結構なストレスになります。

いわゆる文化の違いですね。

外資系には外資系ゆえのストレスがある、と思っていた方が正しいです。

何のための転職か、原点に返ってみる

人間関係のストレスから、時に頭に血が上ったり、感情が抑えきれなくなることもあるでしょう。

こればかりは人間である以上、仕方のないことです。

そういう感情が昂っている時に、勢いでその会社を辞めて転職するというのは避けた方がよいです。

転職には、その人の置かれた状況によって必ずプラス面とマイナス面がありますから、冷静に判断しないとあとで後悔することになりかねません。

特にマイナス面については、改善できるかどうか、改善が難しければそうした状況を受け入れ、耐えていけるのかよく考えてみることが大事です。

50代で転職する場合、純粋にもっと成長したいとか、もっと給料がほしいといった前向きな理由だけ、ということはまずないでしょう。どこかにネガティブな思いがあるはずです。

そうした思いを自分でしっかり受け止め、冷静に分析して転職以外に選択肢はないと言い切れるようになったら行動に移せばよいと思います。

むしろ転職してからの方がストレスは強い

50代でスペシャリストとしてめでたく外資系に転職できたとしましょう。

即戦力で採用されたわけですから、当然、短期間で成果を出すことを求められますが、全く異なる職場で人間関係も一から構築し、さらに英語でのやりとりが増えるという状況で成果を出すのは非常に大変です。

さらに転職先の上司が本国や海外の人になった場合、普段のあなたの仕事ぶりを見ることができないので、まめに進捗や成果を報告する必要があります。

上司へのアピールという点で、シャイな日本人はそもそも不利だということを意識し、普段の何倍も力を込めて説明する必要があります。

こうしたアピールを怠ると、あっという間に「期待して採用したが、外れだった」というレッテルを貼られてしまいます。

自分を表に出すのが苦手な人には、かなり大変な環境になります。

こうしたストレスに加え、特に組織において高いポジションで転職した場合は、周囲から妬まれる可能性があります。

そのような重要なポジションに入ったということは、そのポジションを狙っていた人が外されたということを意味しますから、外された人からしたら面白くない話です。

そういう人に限って、入った職場のキーパーソンだったりするのです。

早めに打ち解けて関係を良くして協力してもらわないと、仕事が進まなくなってしまいます。

私は以上書いたストレスや環境のすべてに該当したわけではありませんが、転職前よりもはるかに大きなストレスで、毎日くたくたに疲れたことをよく覚えています。

まとめ

今回は、外資系に転職した場合の人間関係、人事、ストレスについて書いてみました。

どちらかというと外資系で働くことのネガティブサイドにフォーカスした内容になっているかと思います。

前回の投稿では給与面などポジティブサイドについて書いたので、両方読んでいただくとバランスが取れるでしょう。

それなりに大変ではありますが、そのくらい最初からわかっているし、ストレスに打ち勝って成果を出すのが好きだ、と言える方であれば、外資系への転職は十分あり得る選択肢です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回のブログでまたお会いいたしましょう!

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