皆さま、こんにちは!当ブログ管理人の悠爺です。
私は50代で2回転職を経験し、現在60歳で3社目の会社に勤めている現役サラリーマンです。
50代の転職の振り返りについては↓のブログで、
- 昇進が止まったらリストラ予備軍になったと認識すること
- 大企業のゼネラリストは転職で苦しむ。出世コースを外れたらスペシャリストを目指せ
といった見解を述べました。
今回の投稿では、上記の投稿の続きとして、そもそもスペシャリスト人材とは何か、50代で転職がうまく人はどんな人かについて、私がこれまで会った転職経験者および私自身の経験を踏まえて考察してみます。
人材価値を決める因子
スペシャリストというと専門家というイメージですが、50代で考えた場合、単に特定の分野の専門家というだけでは転職は難しいように思います。
同じ専門性なら若い人の方が有利だからです。
そこで、50代で転職できるスペシャリストというペルソナを想定し、その人の人材価値を因子に分解すると、
50代で転職できるスペシャリストの人材価値 = 希少性 x 市場性 x 再現性※
といった掛け算で語れるのではないかと思い、今回はまずこのあたりから考えてみます。
因みに※の3つの因子は、↓の記事を参考にしたものです。
少し引用させていただくと、
●希少性
言葉どおり、「多くの人が持っている経験・スキル」ではなく、「自分にしかない経験・スキル」を持つということです。
●市場性
いくら希少なスキル・高度なスキルを身に付けても、市場が求めていなければ生かせる場を得られません。
●再現性
これまで身に付けたスキルや成果を挙げた手法を、別の場所でも再現できるかどうかを見極める必要があります。
と書かれています。
この記事は、エグゼクティブを対象とした転職エージェントの方が執筆されているので、年齢層も50代の人が対象になっている場合が多いと想像します。
これら3つの因子のうち、スペシャリストという表現に一番マッチするのは「希少性」です。
一方、3つの因子があるということは、たとえ希少であっても市場性、再現性が伴わなくては人材市場における価値はないということですね。
非常にうまく表現できていると思います。
伝統的な日本の大企業で人材育成の方針だったゼネラリストは、これら3つの属性で見た場合、弱点が多いです。
具体的に見てみると、まず希少性ですが、大企業の役員経験があるならまだしも、部長、課長クラスはそれこそ掃いて捨てるほどいますから、肩書だけでは希少とは到底言えません。
複数の部門で中間管理職を務めたくらいでは希少とは言い難く、市場性があるかどうかは、具体的にどんな経験があるかを見ないと何とも言えません。
そして、おそらく一番の問題が再現性です。その企業特有のプロトコルと社内人脈を身につけたとしても、社外で通用する保証は全くありません。
大企業の中間管理職が転職で苦戦するのは、こうしてみると当然の帰結のように思われます。
かく言う私も元大企業の中間管理職だったので、書いていて強い実感があります。
40代になり、転職が頭に浮かぶようになったら、ご自身の希少性、市場性、再現性を自問自答し、具体的に書き下してみることから始めることをおすすめします。
希少性の上げ方
繰り返しになりますが、スペシャリスト人材の根幹は「希少性」にあります。
希少なものには高い値札がつくのは当然ですから、転職で給料がアップする可能性もあります。
以下私見ですが、希少性を上げるには次の3つの能力を磨くとよいと思います。
- 現在の職種における専門能力
- 現在の職種とは異なる専門能力
- 英語力
50代の場合、こうした能力に加えて組織を束ねるリーダーシップや、実際にチームで仕事を推進して結果を出すマネジメント力も当然期待されます。
ゼネラリストで育った人は、案外リーダーシップやマネジメントの素養を備えている人は多いので、上記の1~3のような能力、つまり具体的に「私は○○ができます」と言えるものを身につけることに集中するとよいでしょう。
間違っても面接で「私は部長ができます」などと言ってはいけません(笑)。
例えば、ご自身がある技術分野における技術者であるとします。その道のプロとして通用する知識とスキルがあれば、1の専門能力はあると言えます。
難しいのは2です。例えば、1の技術の専門家の方が、
- 会計知識を有しており、財務分析ができる とか、
- 法務知識を有しており、契約書の作成や交渉ができる
というのは2に該当します。
3の英語力については説明は不要ですね。
以上3つの能力を備えている人は、たとえば、
ある技術分野において専門的な議論はもちろん、海外の関連企業とのM&Aやデューディリジェンスをまとめ、実務を英語で推進できる
といったイメージです。
同じ業界であっても、その業界が多様なスキルの組み合わせで成り立っている場合は、2つの異なるスキルを身につけることで希少性を獲得できます。
例えば、本業はハードウェアの専門家であるけれども、ソフトウェアについても相当な能力を有するなど。
目安としては1,2,3の能力において1はピカイチ(その業界関係者の間ではよく知られている)、2はその分野の専門家に引けを取らない、3は通訳を介さずに支障なく英語で仕事が進められる、といったところでしょうか。
ここまでくると千人に一人の逸材になってくるので、50歳という年齢で転職できないということはなくなると思います。
逆に希少性が弱いと、転職において若い人たちと競争することになり、圧倒的に不利になります。
50代での転職の場合、若い人たちとの差別化として一番効くのが、若い人が持っていない経験知と人脈を活用した即戦力です。
1はともかく、2を修得するには40代までに専門性の異なる仕事を任されるか、MBAを取得するなど、普通の社員では経験できない試練を乗り越える必要があります。
いずれにしても若いうちからリスクを取ってキャリアを複線化しないと、なかなか希少性は獲得できません。
だからこそ、希少性は転職で確実に威力を発揮します。
市場性の上げ方
今、DXやAIを実装できる技術者はどの業種でも引っ張りだこです。
これは非常にわかりやすい市場性の例ですが、もう少し業界特有の話になると、その業界でどんな人材が不足しているのかを調べる必要があります。
自力で調べる努力は絶対に必要ですが、人材紹介会社やコンサルタントに客観的な情報として聞いてみることも有用です。
どんな人材が転職を希望する業界で求められているかがわかったら、1の希少性とマッチングするように3つの因子を微調整するとよいでしょう。
再現性の上げ方
再現性は汎用性とも言い換えられます。
希少性に掲げた1~3の能力を自分で作文してみれば、自ずと再現性があるかどうかは見えてきます。
つまり、自分の能力が社外でも通用するかどうかについては、他人に伺わずとも自分でだいたいわかるものです。
再現性が弱い場合、職務経歴書がどうしても貧弱になります。
再現性がないと自覚した場合、希少性と称して書いた1~3の能力は、今の会社における人間関係に深く依存しているはずです。
逆に言えば、再現性がない場合、本当の意味での希少性もありません。
管理職の名のもとに、人に仕事を指示することがその人の仕事になっていて、自分一人では大きな仕事はもちろん、実務もままならない人が陥りやすいパターンです。
再現性を高める手段としては、一定の希少性をすでに持っていることが前提ですが、国家資格やその業界で推奨されるスキルの保持を証明するような試験に合格することが考えられます。
どこでも通用する能力があることの証明になるからです。
ただ、たとえ資格があっても、希少性をもって即戦力をアピールできないと50代の転職は厳しいでしょう。
攻めるよりも待つが吉?
一般に転職というと、公開求人広告をみつけて応募するイメージがありますが、人材紹介会社に登録して、スカウトを待つというアプローチもあります。
ただ、50代になるとスカウトのオファーもそう簡単には来なくなります。
50代の転職活動がいかに厳しいかについては、↓のdoppoさまのブログ記事に大変詳しく書かれているので、本気で転職を考えておられる方にはご一読をおすすめします。
結局はリファラル採用
上のブログ記事にも書かれていますが、私の周囲でも、50代で転職した人の多くは「リファラル採用」です。
その人の人脈、ツテ、コネで仕事を紹介してもらったというパターンです。
公開求人に応募する「攻め」の転職活動は、お祈りメールの山を築くことになって消耗します。
一方、リファラル採用の場合、その会社のどういうポジションの人に紹介してもらえるかで結果が大きく左右されるので、ある意味他力本願になってしまいますが、ポジティブに評価してもらえれば、通常の選考プロセスを飛ばして、いきなり社長面接という展開もあり得ます。
リファラル採用を受ける人は、社外の人的ネットワークが豊かで露出している人です。
そして、普段の仕事ぶりが社外の人から見られていて、「この人に来てもらいたい」とひそかに思ってもらえている人です。
そういう人が転職活動を始めると、業界の中で「〇〇さんが次の仕事を探しているようだ」と噂になり、次々とオファーを受けます。
そして難なく転職してしまいます。
長々と書きましたが、結局はリファラル採用。これが結論です。
そしてリファラルを受ける人は、人材価値の3つの因子が明確で、それが普段から社外からも認識されています。
私の場合、そしてまとめ
50代の転職がとても厳しいのは事実ですが、成功する人はリファラルでオファーを受け、早々に転職しています。
「転職は一日にして成らず」 — もちろん、そんな格言はありませんが、50歳になって「さて、困ったぞ」となっても遅いので、40代のうちにキャリアとスキルを棚卸して、人材価値を決める3つの因子を磨いておきましょう。
以前のブログに書いたとおり、私は最初に就職した大企業で45歳ごろから自分が出世コースから脱落したことを自覚するようになりました。
そのころから自ずと社外に目を向けるようになり、自分の市場価値を客観視する癖がつきました。
ゼネラリストでは生き残れないことも自覚するようになりました。
50歳になってリストラが行われたときは、しんどい毎日でしたが、その時の自分の仕事ぶりが社外に露出したことで、複数のオファーを受けることができ、転職はスムーズでした。
今ではあの時リストラされてよかったとさえ思っています。
もちろん、二度と同じ経験はしたくはないですが。
50代の転職は大変ですが、実は転職してからの方がもっと大変です。これについては別のブログで書きたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。次回のブログでまたお会いいたしましょう!
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